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2022年8月講義 「故郷を失った文学」

●前半「故郷を失った文学」

 ​ (新潮社刊「小林秀雄全作品」第4集所収)

​●後半「小林秀雄、生き方の徴」

  (知るということ、感じるということ)

 前半の<小林秀雄山脈五十五峰縦走>は、第八峰、「故郷を失った文学」(新潮社刊「小林秀雄全作品」第4集所収)を読みます。「故郷を失った文学」は、小林先生三十一歳の年の昭和八年(一九三三)五月、『文藝春秋』に発表されました。

 小林先生は、明治三十五年四月に東京で生れましたが、東京に生れたとは感覚的に合点できず、自分には故郷がないという不安な感情があると言います。明治の東京は開国日本の首都として雑多な物事と早すぎる変化の坩堝だった、思い出を育む暇はなかった、思い出のないところに故郷はない、文学も同じだ、日本の作家には明治に渡来した西洋文学の伝統に思い出はなく、だから日本の現代文学には故郷がない、明治以降、大人の鑑賞に耐える現代文学が現れなかったのはそのためだと言って思索を巡らせます。

*そして後半の「小林秀雄、生き方の徴(しるし)」は、「知るということ、感じるということ」です。

 講師 池田雅延

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