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2022年7月21日(木) 「Xへの手紙」 /トンベ

  • manebiyalecoda
  • 2022年8月10日
  • 読了時間: 2分

 今回、池田先生はこの作品を四つの構成、即ち、1.自己解析 2.抽象化気質 3.懐疑 4.他者願望に分類され、それぞれ重要なポイントを含むテキストを読まれながら詳しく説明されたので、縦横無尽に駆け巡る主人公(=小林先生)の思考のドラマが、非常にすっきりとした形で頭の中に入りました。ただ、最後に池田先生が話された、「Xはドストエフスキーではないか」という説は、自分にとっては思いも寄りませんでしたが、ドストエフスキー研究者でもある福井勝也さんも我が意を得たりというようなお話をされたので、もう一度Xとは誰か真剣に考えてみようと思いました。  本文を読むと、Xとは、俺に入用なたった一人の友であり、困難を聞いてくれる友であり、他人から教わらず他人にも教えない心を持った人間であり、尊敬はしていないが、好きだというだけで俺にはもう十分に複雑な気持ちにさせる人間であり、旅から帰って来るのを主人公が待っている人間です。いや、それだけではありません。大事なのは、この思考のドラマ全体を聞いてもらいたいと思っている、たった一人の友、それがXという人物なのでしょう。ただ、主人公は、それが仮に君だとするなら、と付け加えているので、一人の人間だと限定はできません。  ドストエフスキーかもしれない、具体的な小林先生の友達かもしれない、あるいは自分自身かもしれないなどと、様々な可能性を頭の中で巡らせましたが、最後に思い浮かんだのは、Xとは読者ではないか、それも自分の思いを正しく受け止めて理解してくれる読者ではないかという、誰でも思いつきそうな考えでした。しかしながら、そういう読者に是非ともなりたいと切望しています。

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