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  • manebiyalecoda

2022年5月19日(木)「『悪の華』一面」 /大江公樹

 今回も講義を有難うございました。

 「『悪の華』一面」は今回初めて読みましたが、「様々なる意匠」と重なる部分があるといふ意外な発見がありました。しかし、逆を言へば理解できたのはそれ位のことで、後の部分は殆どわかりませんでした。

 講義では、サンボルの意味をはじめ、「『悪の華』一面」を理解する上でのヒントを幾つも教へて頂きました。しかし、最大の学びは池田先生が冒頭に仰つた「この文は何度読み返しても難しい」といふ趣旨の言葉でした。今回の講義で学んだヒントを以てしても、依然として難解な文章として我々の前に立ちはだかるであらう「『悪の華』一面」について、それが難解であると素直に認めること、その上で小林先生の思ひを受け止めやうと努力することの大切さを、先生の言葉から教はりました。  今回の講義は、「『悪の華』一面」がわかるやうになるといふよりは、「『悪の華』一面」から今後一つでも多くのものを感じ取れるやうになる姿勢(例へば、小林先生が「僕は散文ではなく、詩を書いてゐる」といふ言葉を踏まへておくことなど)について、学べたやうに思ひます。その意味で、理解を深めるといふこと以上に、未来の読書体験を豊かにするやうな講義になりました。今回学んだことを活かし、「『悪の華』一面」、またそれ以外の文章を読んでまいりたく存じます。  後半の「天寿を磨くといふこと」も、井伏先生の飲み方についての話をはじめ、大変面白く拝聴致しました。  また次回も宜しくお願ひ申し上げます。


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