2021年9月16日(木) 「ドストエフスキー」 /大江公樹
- manebiyalecoda
- 2021年9月23日
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講座に合はせて、大学二年生時以来、十年ぶりに『罪と罰』を読み直しました。当時は、ラスコーリニコフが次から次へと吐く理論に振り回されてゐましたが、今回は己が宿命・生の実感を求めて彷徨する青年ラスコーリニコフの姿が強く印象に残りました。そして物語の所々で、この十年のうちに読んだトルストイ、シェイクスピア、三浦哲郎が、ある時は重なるやうに、ある時は対称を為すやうに思ひ起こされました。
『罪と罰』を読んで得た興奮が冷めやらぬ中で「罪と罰Ⅰ」、「罪と罰Ⅱ」を読むと、『罪と罰』といふ本から作者ドストエフスキーの方へ、云はば地平から垂直方向へ、首根つこを掴まれて引つ張り上げられるやうで、これまた圧倒されました。
池田先生のお話しでは、「電磁的な「場」の発見」、「観念と行為の算術的差」について、身近な出来事を例に解説して頂きました。小林先生の文章の内容がより実感を以て読むことができるやうになつたと感じてをります。また『罪と罰』を読む小林先生の姿勢が、作者の心中に飛び込むといふ点で、『源氏物語』を正しく読み直した宣長の姿勢に重なるといふお話しにも感銘を受けました。今回も小林先生の世界へと深く引き込む話をして頂き、有難うございました。
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