2021年5月講義「芥川龍之介の美神と宿命」
- manebiyalecoda
- 2021年5月25日
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更新日:2021年6月5日
今回取り上げる「芥川龍之介の美神と宿命」は、昭和2年(1927)9月、芥川が自殺した7月24日の翌々月に発表された作品です。その2年後、小林氏は「様々なる意匠」を書いて雑誌『改造』の懸賞評論二席に入り、勇ましく文壇に打って出ますが、氏はそこでも「作家の宿命」ということを強く言い、以後、氏の仕事は詩人であれ画家であれ作曲家であれ、彼らの「宿命」を逸早く見出してそれぞれの「宿命」と話しこむ、そういう姿勢で貫かれます。そこで今回は、その「宿命」という言葉に注目します。
ただし、「芥川龍之介の美神と宿命」を書いた年、小林氏は25歳でした、そのため文章自体は若書きそのもので難解です、したがって、ここで言われていることを無理にもわかろうとする必要はありません。氏は文中で、たとえば「芥川氏にとって人生とは彼の神経の函数としてのみ存在した」と言っています。この「神経」を頭において芥川の作品を「鼻」から「歯車」へといくつか読み返せば、小林氏の言う「芥川の宿命」がおのずと感じられてきます。芥川の作品がいっそう面白くなります。
講師 池田 雅延
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