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2021年4月15日(木)『中原中也の思い出』/青山純久

  • manebiyalecoda
  • 2021年5月8日
  • 読了時間: 3分

 このたび、オンライン講座に初めて申込みをいたしました。

 参加して良かったと心から思いました。


 事前に、今回の「中原中也の思い出」について、池田先生のご案内文を読ませていただいたことで、より理解が深まることにもつながりました。

 いつも真摯なお言葉をありがとうございます。 


 画面の向こう側でしたが、お話しされる池田先生のお人柄に惹かれました。

 居ずまいを正して話されるその気迫といいますか、先生の純粋な想いが、極めて抑制された口調の中に、ふつふつと湧き上がるような情感を伴われていて、非常に印象に残りました。 

 それらは、小林秀雄という批評家の人間的な魅力と思想の大きさに直結していることを改めて認識いたしました。 

 

 中原中也と小林秀雄。人生に抗いながら、表現の高みにおいて「宿命」を我がものとした彼らの気高い詩魂が、池田先生の語りによって呼び醒まされ、先生のお話を拝聴する間、中原中也や小林秀雄の魂がまるでそこにいるような感覚に陥り、池田先生の声の響きと相俟って、まさにその言葉が音楽のように聞こえて、時折涙が滲みました。 


 池田先生は「宿命」という言葉を使われましたが、まさに教養のための文学では決してない、ある懸命に生きた人間の跡を辿っている気がしてなりませんでした。

 現実の人と人の魂の距離に比べると、死と生という時間軸を隔てていても、震える魂同士の結びつきの方がより近い、という思いさえしてくるのでした。


 小林秀雄があの文章の中で、自分の魂の中に錘のように存在する中原中也への複雑な思いを、そして悲しみを、敢えて突き放すかのような表現で書かれていることに対して、批評家としての厳粛な矜持を見る思いがします。 


 ある人と運命のように出逢い、共に時間を過ごして様々な体験を共有し、その関係が密接であればあるほど、分かる部分と分からない部分の明暗がはっきりとしだします。

 人を愛するという行為の中には、背中合わせに理解し難い気持ちが内包している事が多いですが、その距離感が独りであることの悲しみに繋がり、人としての、あるべき孤独を完成させるのではないか。

 つまり、他者はいつでもその深奥において謎であり、他者ばかりではなく、自分自身も謎でしかない。答えを求めると逃げていくのだが、しかし、真剣に向き合うことで対象自身がその秘密を語り出す瞬間がある・・・。 

 そのような考えが、池田先生のご講義を聞いた後も心の中で渦巻いていました。


 「時間」というものの不思議を感じました。

 昭和初期に生きていた魂が、どうしてこれほどの想いを現在の私たちに想起させるのだろうと・・・。

 未来から流れくる時間と過去の時間が常に出会い続ける場所がある気がしてなりません。


 いくつもの想いが湧き上がり、とりとめのない想いを文字にしていると、どこからか声が聞こえてきます。



  夜空の星を見給え。

 そこには美しい秩序の裡に古代の人々が見た神々の姿がある。

 ひときわ輝く星があるなら、それが詩人の魂である。

 地上において宿命的な働きをする孤独な魂は、天上において何と美しいことだろう。

 たとえ、科学が何と云おうと、幾千万の澄み切った光跡が我々のこころに真っ直ぐに差し込む!

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