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2021年3月講義「常識について」

  • manebiyalecoda
  • 2021年4月23日
  • 読了時間: 2分

 今月は、昨年7月から続けてきた講演文学シリーズの拡大版その2として「常識について」(「小林秀雄全作品」第25集所収)を読みます。この作品は昭和39年(1964)小林氏62歳の8月、鹿児島県桜島で行われた第9回全国学生青年合宿教室での講演が基になっています。

 小林氏は、まずこう言います、常識という言葉は、ずいぶんでたらめに使われている、困った男だ、まるで常識がない、と言うかと思うと、そんなこと常識ではないか、面白くもない、と言う、これでは何のことやらわからない、そもそもを言えば「常識」は英語「コンモン・センス」の訳語である、「コンモン・センス」とは私たち誰もが持って生れている精神の不思議な能力のひとつであり、そこを敢えて別の言葉でいえば誰にも備わっている直観力、判断力等に基づく思慮分別や知恵である……。

 そして、そういう「コンモン・センス」の働きに最初に気づいたデカルトは、この能力は生活面でどういうふうに働かすのが正しいか、また有効かを問い続け、常識の使用法についての感動的な本を書いた、それが日本では「方法叙説」と題して売られてきたが、原題はそんな固苦しいものではない、「方法の話」とか「私のやり方」とかとしたほうがはるかにふさわしく、デカルト自身、「古人の書物ばかりをありがたがっている人たちよりも、単純な分別だけを働かせている人たちのほうが私の意見を正しく判断するだろう」と本の中で言っていると紹介し、デカルトの「常識」を具体的に語っていきます。                                      

 講師 池田 雅延

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