top of page

2021年10月21日(木) 「慶州」「ガリア戦記」 /大江公樹

  • manebiyalecoda
  • 2021年11月8日
  • 読了時間: 2分

 長年読まなければと思つてゐた『ガリア戦記』を、今回講座に合はせて読みました。カエサル自身の決断と行動を、そこに至るまでに辿つた筈の膨大な思考の形跡を排して、簡潔に記した文章に大いに感銘を受けました。

 確かに本書はカエサルによる政治的宣伝といふ側面があるのかも知れません。しかし本書には、今日見られる単なる政治的プロパガンダの枠をはるかに超えたものがあるやうに感じました。一例を挙げれば武勇の扱ひで、本書中ローマ軍兵士の勇敢な戦ひぶりが度々描かれますが、それと同様ガリア人兵士たちの勇敢さも度々描かれます。武勇そのものを称へるといふ筆致が、本書を単なるプロパガンダといふ次元から直立させてゐるやうに感じました。


 講座では池田先生に「慶州」、「ガリア戦記」といふ、小林先生が美を求める道を歩んで行かれる上での大きな転換点を表した作品について解説して頂きました。小林先生の文章から、そして池田先生の解説から、美の表現者たらうとする小林先生の美に対する情熱の深さを感じることができたやうに思ひます。特に仏国寺で仏像を見た瞬間、かつて一流のミケランジェロの彫刻を見てゐた経験が小林先生の目を開かせたのではないか、といふお話しに興味を持ちました。有難うございました。次回からは骨董を始めとして、自分には馴染みのないテーマが続きますが、今回の講座で得ることの出来た感覚を踏まへて、読み進めて参りたく存じます。

最新記事

すべて表示
2022年7月21日(木) 「Xへの手紙」 /トンベ

今回、池田先生はこの作品を四つの構成、即ち、1.自己解析 2.抽象化気質 3.懐疑 4.他者願望に分類され、それぞれ重要なポイントを含むテキストを読まれながら詳しく説明されたので、縦横無尽に駆け巡る主人公(=小林先生)の思考のドラマが、非常にすっきりとした形で頭の中に入りま...

 
 
2022年7月21日(木) 「Xへの手紙」 /大江公樹

今回も、小林先生の文章と直に向き合はせる講義を有難うございました。 講義に向けて、「Xへの手紙」を何度か読みましたが、難解な場所が多く、未だ文章全体を透徹してみることは出来てをりません。ただ、「和やかな目」、現実からの抵抗を受ける言葉、清潔な抽象と現実との関係など、幾つかの...

 
 
2022年5月19日(木) 「『悪の華』一面」 /片岡久

この文章を読んで驚いたのは、小林先生はこの文章を書かれた二十五歳の時点で、すでに生涯をかけたテーマを認識されており、その解読に取り組まれていたことです。 象徴は生きた記号であり、生きているとは意味と存在が未分離であることだとされています。それは芸術という形式が形態と意味を切...

 
 

Comments


Commenting on this post isn't available anymore. Contact the site owner for more info.

©l'ecoda Proudly created with Wix.com

  • Facebook Social Icon
  • Twitter Social Icon
bottom of page