2020年1月16日(木)『西行』/トンベ
- manebiyalecoda
- 2020年5月8日
- 読了時間: 2分
新型コロナ禍で、3月に続き4月も残念ながら休会となり、他にも新潮講座や鎌倉の塾など、ほぼ毎週のように池田先生の謦咳に接していた私は、聊か禁断症状が出始めております。
こんな時はどうしたらよいかと言えば、宣長さんの「詮ずるところ学問は、ただ年月長く倦まずおこたらずして、はげみつとむるぞ肝要」という言葉や小林先生の「頭の良し悪しは、思考を継続できるかどうかにかかっている」という言葉に倣って、講義の有り無しに関わらず勉強し続ける事でしょう。
ということで、週末、2020年1月に講義のあった『西行』を当時のメモとともに読み直してみました。「新古今和歌集」約2000首の中に、何と94首と最多入集歌人である西行は、心理詩ではなく思想詩、その歌の骨格は意志で出来ていると言うべき孤高の歌人だということ。その背景には、恋する高貴な人とは結ばれない絶望や、鳥羽院と崇徳院との争いにおける西行の複雑な立場などがあり、そういった中での西行の心の疼きが歌となっていったとのこと。
また、もう一度読み直してみて一番感心したのは、小林先生の引用歌の選び方の完璧さです。最初の「心なき…」に始まって、その後も、50首以上の歌が引用され、最後に、「風になびく…」から「願はくば…」で終わる、その一大思想劇を見るような流れは、西行の2300首をすべて頭の中に入れて、そこから『西行』という批評を書くにあたっては、ここはこの歌しかない、そういう完璧さで歌を選んで書かれているということを改めて感じました。
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