2019年2月講義『美を求める心』
- manebiyalecoda
- 2019年2月24日
- 読了時間: 2分
更新日:2021年1月11日
第2回 2019年2月21日
「美を求める心」
第2回は「美を求める心」(新潮社刊『小林秀雄全作品』第21集)を読みました。この作品は、元はといえば小学生・中学生に向けて書かれた文章です。したがって、難しいことは何も言われていません。しかしここで言われていることは、小林氏が大人に向かって言い続けたことのエッセンスです。氏の文筆生活は60年に及びましたが、「美を求める心」はそのちょうど中間点で書かれました。前半30年のエッセンスがここに流れ込み、後半30年のエッセンスがここから流れ出ています。
小林氏にとって「美」は、「人生」と同義語です。絵や音楽がわかりたいなら頭でわかろうとせず、たくさん見なさい、聴きなさい、と言い、目も耳も訓練しなければ見えるものも見えない、聞えるものも聞えないと言います。たとえば菫の花を見て、私たちはたいてい、「ああ、菫だ」と思うだけですませてしまいますが、それではいけない、黙って一分間見つめるのだ、すると細かい部分の形や色までが浮き立って見えてきて、菫の花にも自分の目にも驚くはずだと小林氏は言います。
ではなぜそこまでするのでしょうか。菫の花の姿に感じてそれまでは思いもしなかった何かに気づくように、人間の姿に感じて人生の大事に気づく、そうなるためだと小林氏は言います。
小林秀雄は何から読むのがよいかと訊かれたときは、どなたにも「美を求める心」を一番に、と池田講師は答えています。
講師 池田雅延
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